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人工知能の核心 [活字中毒のトモ]


人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)



テクノロジーの進化を前提として、人間はさらに可能性を広げるために
人工知能をどう使っていけばいいのかを、NHK スペシャルのディレクター、中井 暁彦さんが
日本屈指の棋士、羽生 善治さんと一緒に探った本です。

人工知能といえば、チェスや囲碁将棋のチャンピオンを次々と破っていますが
羽生さんは将棋について、この状態が到来する時期を、ほぼ正確に予告した棋士だそうです。
羽生さんといえば、将棋だけでなくチェスについても、日本屈指のプレイヤーです。
この本を読むと、羽生さんの思考回路がほんのちょっぴり分かるというか
現状を把握して、先を予測する能力が高い方だというのがよく分かります。
私はチェスは好き(弱いけど)ですが、将棋は指したことがありません。
それでも、この本を読んで、羽生さんのファンになりました。

羽生さんは、人工知能と人間の大きな違いは「恐怖心があるかないか」だと言います。
人間だったら、先を読んで「これはまずい」とか「この指し方は美しくない」と思ったら
その手を使うのを躊躇しますが、人口知能は躊躇しない。
また人口知能は、超大な計算力で読みを行いますが、
人間は「大体、こんな感じ」で手を絞るプロセスを持っている、と言います。
羽生さんはこれを「棋士の美意識」と言いますが、人工知能には、それがないようだと。
あと「人工知能は問題を先送りする癖がある」とも書いておられました。
プログラムによって、何手先まで読むように組まれているのかが違うので
10 手先までしかよまないプログラムでは、20 手先に落とし穴があっても
それを考慮しないでずるずると、とりあえず 10 手先までは勝てる
結果的にはあまり良くない手を指してしまうのだそうです。
もっとすごい計算力をもつ人工知能が出てきたら、これは解決できそうですが
美意識って難しいですね。

またこれから、人間に寄り添うためのロボット開発に力が入れられるはずだが
人間相手に接待ができるロボットは開発できるだろうか、とか
ロボットに倫理観を持たせるとしたら、何をどう考えればいいのか、とか
かなり際どい内容まで踏み込んで、いろいろな考えを書いておられます。
確かに・・・接待して相手に機嫌良くなってもらえるロボットって、
どうしたら開発できるのか、とても興味があります。
人間がいかにあやふやで、いい加減なのか
また同時に、それだからこそ世の中成り立っているということを
実感させられる 1 冊でした。
今後ロボットを開発していく過程で、
グレーゾーンのまま、あやふやな状態に置かれていたものが、徐々にクリアになる
というか、クリアにしなくては、ロボット開発は進まないようです。

最近「未成年に飲酒を勧めるのは良くない」とか「不倫は良くない」とか
「倫理的にクリーンなイメージを持つことが大事」な方向に、世論が変わってきているのは
こういう背景もあるのかもしれないと思いました。
きちんと「良いことと悪いこと」をはっきり決めておかないと
ロボットがより高度な働きをするようになったときに、困るというか
それが決まっていなければ、開発が進まない、そんな気がします。


人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

  • 作者: 羽生 善治
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2017/03/08
  • メディア: 新書



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