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南の島の新幹線ー鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記 [活字中毒のトモ]


南の島の新幹線ー鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記

南の島の新幹線ー鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記

  • 作者: 田中 宏昌
  • 出版社/メーカー: ウェッジ
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


台湾旅行が楽しかったので、ちょっと興味を持って読んでみました。
ところが、読んでみると台湾の新幹線には、なかなか複雑な事情があるようで。

著者は元 JR の鉄道エンジニアで、2002 年より顧問として
台湾高速鉄道プロジェクトの技術指導を担当され、
2010 年からは非常勤顧問をされていらっしゃる、田中 宏昌さん。
台湾高速鉄道の受注競争の最中からプロジェクトに携わっていらっしゃいます。
台湾の新幹線の経緯を、日本で一番ご存知かもしれません。
しかしその田中さん、本書でずっとぼやいていらっしゃいます。
その理由は、日本が受注したのが台湾高速鉄道の機電システムのみだったから。
つまり、新幹線の車両や電力システム、信号通信や指令システムは
日本が作るのですが、土木構造物などのインフラは別契約で
日本以外の企業が受注して作業が進んでいたのでした。
それに、当初はユーロトレインが機電システムの製造を受注することが
濃厚とみられていたので、インフラはそれを見越して
ユーロトレイン仕様になっていました。
ユーロトレイン仕様の線路に新幹線を走らせる?そんなバカな・・・。
新幹線には新幹線に合ったインフラが必要なのに。
日本で新幹線を作った時とは、全く違う背景に
現場の人たちがハラハラするシーンが頻繁に出てきます。

一方、台湾高速鉄道は、機電システムを日本から受注したにもかかわらず
日本との契約内容については、ユーロトレインを前提にしたものから
新幹線を前提としたものに変える気がありませんでした。
それぞれのいいところを取り合って、ベストミックスなシステムを
作ろうとしていたとのことです。プロジェクトの推進母体である
興建本部を指揮する主要なポストには、
ユーロトレインに詳しい外国人の技術者が就いていました。

こんな複雑な状況で、よく機電システムを受注しましたね。
・・・止めといた方が良かったんじゃない?
前提条件が悪すぎます。こんなプロジェクト、受注しても
成功する可能性はとても低い。

それでも受注した以上、何とかプロジェクトを成功させようと頑張るのが
現場の人たちです。
乗務員専用の出入口はない、運転台には恐ろしい数の操作ボタンが並んでいる
などなど、新幹線をよく知る技術者から見ると、
意味の分からない、ありえない車体を、技術を駆使して作り上げています。
・・・作っちゃったんです。お客様の注文に応えて。
本当に大丈夫ですかね?事故ったりしない?不安になりました。
田中さんがぼやき続けるのも、納得です。



南の島の新幹線ー鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記

南の島の新幹線ー鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記

  • 作者: 田中 宏昌
  • 出版社/メーカー: ウェッジ
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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